ファミコン探偵倶楽部 笑み男をクリアしました【途中からネタバレ有】

最初に笑み男の映像が出た時から気になっており、シリーズ未プレイですが遊んでみました。
なかなか人を選びそうな作品でしたが、私はとても楽しかったです。
発売して間もない&ネタバレが致命的な作品なので、前半はネタバレ無し、後半はネタバレ有りで感想を書きます。

ゲームとしてはオーソドックスなアドベンチャーで、色々調べたり話を聞いたりしつつ事件の真相を探しに行く感じです。
システムそのものの古さはありますが、困ったら「考える」コマンドを使うことでやんわりヒントが得られるので然程詰まらずに進むことが出来ました。
結構親切だなと感じたので、普段あんまりこういう作品を遊ばない身としても楽しかったです。
先に進むことを優先してしまったのであまり寄り道はしてないのですが、お遊び系の選択肢や小ネタも多そうな感じがしました。飲食店に電話かけた時とか細かくて面白かったです。

BGMやグラフィックも雰囲気に合っていて良かったです。
背景まで含めて細かく動いているのが見ていて楽しいなと。
あとキャストが豪華でフルボイスなのが凄いと思いました。このキャストの凄さは声優さんで誰が重要人物か分からないようにするためだったのかな。

あとネタバレにならなさそうな感想といえば、ヒロインであるあゆみちゃんがずっと優しくて頼もしくてありがたかったです。
特に中学生と関わる部分も多いお話だったので、彼女のような存在がいてくれるのは助かりました。
周りが変な人ばっかりだけど頑張ってほしい。
主人公とあゆみちゃんで携帯電話の番号登録の順番が地味に違うのが細かくて面白かったです。

お話は「人を選びそう」だと思いつつも自分は面白いと感じました。
気になる人はまず体験版を触ってみるのがいいかなと。
楽しかったです!

ここからネタバレ有ります














ゲーム発売と同時に笑み男のグッズが販売したため「笑み男はある程度愛着を持てるようなキャラなのかも」なんてメタ読みしましたが、クリア後は「なんでグッズ化したんだ……」と天を仰ぎました。
いや紙袋単体のグッズ(トートバッグとか)はギリギリ思い出の品扱いにでき……いや無理かも……。

ゲーム内容にも気になる点はあるのですが、それでも総合的に面白かったと思っております。
廃村に辿り着くきっかけが偶然に近いのは割と急だなと。おっちゃんから情報を引き出せたのはそこまでの積み重ねの結果だけど、おっちゃんそのものがあの場にいたのは偶然ですからね。
神原さんもある程度情報は掴んでたと思うので、彼から何か聞けても良かったかなと思いました。

起こった出来事も真実も全部が苦い感じで、それでいて主人公が介入できた部分も多くないのがシビアだなと。
それでもこの話を主人公とあゆみちゃんが追ったことには意味があると思ってます。
あと二人がいたからめぐみちゃんや溝口くんから話が聞けた部分もありますし。子ども達のメンタルケアは大事な仕事だったかなと。
この作品における主人公の役割は最後の空木先生の問いかけが答えだと思ってます。
今作における探偵は「事件を解決する」というより「真実を暴く」という立場なんじゃないでしょうか。
最後の解決編がアニメなのも「観測する」みたいな立場だからなのかなーと妄想してます。

今回起こった事件は分かりやすい悪意の介入がなく、全部を知ってもすっきりしないのは挑戦的だと感じました。
いや、久瀬刑事がやらかしたことはかなり重罪だと思うのですが……彼女に関しては法的に裁かれたほうが良かったんじゃと思う気持ちはあります。たまたま間に合っただけでめぐみちゃんが殺されかけましたからね。
お婆ちゃんや誠さんが再会出来そうなのは良かったですが、久瀬刑事がしっかり罪を償って「もう一度家族がバラバラになるけど、数年後には必ずみんなで再会できる」みたいな形のほうが良かったかなと思います。

今回の事件ってどんな風に報道されたんでしょうかね。
轟夫妻の今後を考えると胃が痛いです。二人が実を庇わずに警察に情報提供してればもっとマシな結末になったかもしれない、と思うと夫妻にも落ち度がないとは言えないですが……。
それでも信じた義理の子どもがとっくの昔に壊れてて、何人も殺めてしまった事実は変わらないのが苦しいです。
実も轟夫妻の元にいれば、相談すればマシな人生が歩めたかもしれない、と思ったのですが、彼は誰かに相談する、信頼するってことを知らなかったでしょうからね……。

タイトルロゴが反転すると笑み男の顔になり、二つ合わさって笑み男の笑顔になるってギミックが好きです。
それから標識のイラストは「子どもを連れ去る笑み男」じゃなくて「手を繋ぐ兄妹」だったのが悲しいなぁと。
それでも笑み男がやったことは許されざることだと思います。佐々木くんのやったことや久瀬刑事のやったことも、悪意ではなくても許されないなと。
でもそれで終わるんじゃなくて、空木先生の言うように「どうするか」を考えないといけないのかな、と思いました。

苦いお話でしたが、遊べて良かった作品でした。

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